Boys Just Want to Have Fun
開廊時間|火〜土 11:00–19:00 (土 13:00–14:00 CLOSED)
休廊日|日・月・祝日
このたび、Akio Nagasawa Gallery Ginzaでは、TORAJIROによる個展「Boys Just Want to Have Fun」を開催いたします。
TORAJIROは東京を拠点に活動する作家です。武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業後、ニューヨークに留学。帰国後はグラフィックデザイナーとして働きながら、デジタル作品や油彩・アクリル画の制作を続け、精力的に作品を発表しています。
自身の制作について、TORAJIROは次のように語っています。
「セクシャルマイノリティとして、子どもの頃から感じていた孤独や不安をテーマに絵を描いています。自分の本当の気持ちを隠し、偽って生きることのつらさ。自分に正直になることの怖さ。それは、社会に出て働くようになっても続きます。体を鍛えて大きく強く見せることができても、心の内にある繊細な気持ちは隠せません。決して笑顔ではない彼らの表情が、さまざまなことを物語っているのです。」
これまで作家は、社会問題を背景に内面の葛藤や孤独、動物や自然との共存の重要性を表現し続けてきました。本展では、「声高な主張はない“静かなレジスタンス”の集積」として、沈黙と色彩を通して感情の“痕跡”を残す、新作を中心とした作品群を展観いたします。ぜひこの機会にご高覧ください。
作家ステートメント
「ただ楽しみたいだけ」
その言葉の裏にはいくつもの沈黙と葛藤があります。
個展「Boys Just Want to Have Fun」は、「静かなレジスタンス」の集積です。
そこには声高な主張はありません。描かれた男性たちの身体やまなざし、画面を満たす色彩が語りかけ、そして言葉にならなかった感情の「痕跡」を残します。
近年、世界各地でLGBTQ+の権利が前進や後退を繰り返す中で、私たちは「ただ生きる」「ただ楽しむ」ことすら、政治(やそれぞれの国の法律)に左右されることをまだまだ実感しています。
日本においては、同性婚の法制化はいまだ実現せず、学校や家庭、職場といった日常のあらゆる場所で、マイクロアグレッション(さりげない差別)や制度的な抑圧が根強く存在しています。
このような状況において、TORAJIROの描く男性たちは「声高な主張」ではなく、「沈黙の中にある感情」で世界と対峙しています。彼らはこちらを見つめ、時に視線をそらし、動物たちと寄り添い、ただ立ち尽くします。絵画の中に流れる色彩の全ては、複雑な感情の痕跡です。
個展タイトル「Boys Just Want to Have Fun」は、1980年代のシンディ・ローパーのフェミニスト・アンセム「Girls Just Want to Have Fun」へのオマージュでもあり、同時に、ジェンダーの枠を超えた自由とユーモアを内包するアイロニカルな表現です。
この展示を通じて、「日々を楽しむこと」「だれかを愛すること」「自分に正直になること」といった、ごく当たり前で、だからこそ奪われやすい行為の尊さを再確認したいと考えています。
絵画は、政治的スローガンを叫ぶ代わりに、沈黙と色彩を通して、もっと深い真実を語ります。
その静かな語りかけが、あなたの心にそっと響く空間になりますように。
-TORAJIRO
アーティスト
TORAJIRO
TORAJIRO
武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業後、NYに留学。帰国後はグラフィックデザイナーとして働きながら、デジタル作品制作や、油彩画制作を行う。現在はアクリル画で、東京を中心に個展やグループ展を行う。
セクシャルマイノリティであることがベースとなり、鍛えられた肉体を持つ青年たちを描く。彼らの憂いの表情に、内面の葛藤や孤独、社会的な抑圧を表現。視覚的な美しさと深いメッセージ性を兼ね備える作品を作り続けている。
また、寄り添ってくれる立場としての動物や、自然との共存の重要性を訴えながらも、優しく柔らかなタッチと色彩で表現。観る者に深い印象を与えている。
〈主な展覧会歴〉
2025年
「Dungeon Party」(&& Gallery、グループ展、Los Angeles CA)
2024年
「尻博2024」(文房堂、グループ展、東京)
「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」(新宿眼科画廊、グループ展、東京)
2023年
「Don't Knock it 'til you've tried it」(EAGLE TOKYO BLUE、個展、東京)
「UNDER THE BLUE SKY」(新宿眼科画廊、個展、東京)
「"日常"という名の箱舟」渋谷パルコ1階壁面アートウォールにて展示(LOEWE協賛)
2022年
「NUDE礼賛!ーおとこのからだ」(Dub Gallery Akihabara、グループ展、東京)
「MALE ART 2022 男のフェチズム展2」(グループ展、新宿眼科画廊、東京)
2021年
「One Of Those Days」(インストールの途中だビル401号室、個展、東京)
「MALE ART 2021 男のフェチズム展」(新宿眼科画廊、グループ展、東京)
出版物



