サイン入り
Odasaku(英語版)
サイン入/限定1500部
織田作にさようならするために……
自由軒で名物カレーを食べる。法善寺横町をかっぽする。「めおとぜんざい」と書いた赤い大提灯を見る──。
思えば、ずいぶんと長い間、織田作に取り憑かれていた。難波から千日前を抜け、夕陽丘を登る。織田作が下りながら青春に別れを告げたように、織田作を振り切りながら口繩坂を降る──。もうこの坂を登り降りすることは二度とあるまい。幕引きに生國魂神社に向かう。源聖時坂はだらだらと長い。登りながら思う。心底もうこりごりだ。生國魂神社で織田作の銅像に会う。ソフト帽にトンビをひるがえしたそれは、小脇に抱えられるぐらい軽やで、ブロンズ像の緑青と相まって、まるでピーターパンのようではないか──。イヤな予感が走る。ダメかもしれない……。神社の脇で一服中のタクシー運転手と話す。「織田作之助? ああ、あの『夫婦漫才』な」。ケケケと笑う声が織田作のそれと重なる。織田作、織田作之助。大阪に生まれ、書き、東京に斬り込み、わずが3カ月で血を吐いて死んだ。明るさをよそおったこの哀しい男に、どうしてグッド・バイなどど言えようか。
僕にとって写真集は、2枚目のパスポートだ
─グラフィックデザイナー・造本家・町口 覚─
坂口安吾、太宰治とともに戦後日本文学の無頼派と呼ばれた織田作(おださく)こと織田作之助の短編小説『競馬』と森山大道が大阪で撮った作品を組み合わせ、マッチアンドカンパニーの町口覚が造本した1冊。
- 判型
- 216 x 190 mm
- 頁数
- 180頁、掲載点数85点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2016
- 出版社
- match and company

森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。
森山大道の出版物
稀少 サイン入り
Another Language: 8 Japanese Photographers(サイン入)
猪瀬 光、須田一政、内藤正敏、野村佐紀子、細江英公、森山大道、横田大輔
$157.41