ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK(新装版)
森山大道
シルクスクリーン刷表紙・手製本シリーズの最新刊。
《もう一つの国》ニューヨーク。
1974年、プリンティングショーにて森山大道がセルフパブリッシングとして制作した、幻のコピーブックの新装版。
2013年にAkio Nagasawa Publishingより刊行した『ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK』(復刻版)に続き、本書ではこれまで未収録であったコンタクトシートを多数追加収録しています。
※2026年4月8日〜5月30日、 Akio Nagasawa Gallery Ginzaにて、森山大道個展「ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」開催。ぜひこちらもあわせてご高覧ください。
僕の大好きな街ニューヨーク、もしかしたら東京より少しばかり好きなのかも知れません。たった一度しか行ったことがないけれども、僕には世界の中にあるニューヨークというのではなくて、ニューヨークこそが世界なのだというわけです。たしかに、コンクリートと、スティールと、ガラスと、そして雑多な人々のルツボなのですが、どこかにいい知れぬやさしさを、かなしみを、ひめています。そして、そのやさしさとかなしみは、僕の内部で、他に類をみないかたちで在りつづけているので、時おり恋人を想うようにニューヨークの灯を想うわけです。僕はひどい飛行機恐怖症なので、行きたくなってもすぐにすっ飛んで行けないのがとても残念なのですが、以前に行ったときに、ハーフサイズ・カメラでパチパチ撮った1500コマの写真が、ほとんどどこにも出さずにしまってあり、一度、それらの写真を、恋人のアルバムを作るように作ってみたいと思っていたところ、今度シミズ画廊でそのアルバム制作の場を提供してもらえたので、やっと念願がかなうわけです。僕が日頃、近くて遠い思いでいつもいらだっている東京を此岸、つまり〈こちら側の国〉だとすると、ニューヨークは僕にとっては遠くて近い彼岸、すなわち《もう一つの国》だと、いつも考えているのです。
-森山大道(『ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK』、1974年)
