See You Tomorrow
開廊時間|木〜土 11:00–13:00, 14:00–19:00
休廊日|日〜水・祝日
※5月28日(水)のみ臨時営業
この度、Akio Nagasawa Gallery Aoyamaでは、小池健輔個展「See You Tomorrow」を開催いたします。
小池は、1980年愛知県名古屋市生まれの現代美術作家です。イタリア国立ヴェネツィア芸術アカデミーを経てヴェネツィア建築大学ビジュアルアート専攻を修了し、現在はイタリア・ヴェネツィアを拠点に、世界各地で展覧会を開催しています。
小池は、蚤の市などで入手したヴィンテージの写真や絵葉書を切り貼りし、再構成することで、新たなイメージを生み出す独自の手法で作品を制作してきました。
本展では、これまで西洋の古写真を使用してきた小池が、初の試みとして、日本の明治期の古写真を素材に新たに制作したオリジナル作品を発表いたします。ぜひこの機会にご高覧ください。
作家ステートメント
人がいなくなっても、その痕跡はどこかに残る。
古い写真や記憶は、静かな亡霊のように、日常の中に溶け込み続ける。
古い人物写真や風景写真の一部を切り取り、それを一度だけ再構成している。
遠くから見ると面影があるように見えるが、近づくにつれて輪郭はぼやけ、何が写っているのか分からなくなる。
それは、記憶が時間とともにあいまいになっていく様子に重なる。
すべての作品は、もとの写真の断片だけでできている。
新しい要素は加えられていない。
だからこそ、再構成された像には、過去の気配や記憶が自然と染み込んでいる。
それでも形は変わっていく。
DNAが世代を超えて受け継がれるように、記憶もまた、姿を変えながら残っていく。
「See You Tomorrow」は、日々の別れ際に交わされる、ごく普通の言葉。
けれど、その約束が果たされなかったとき、そこにあるのは不在の気配と、もう会えないかもしれないという空白。
この展示では、記憶やつながり、遺されたものが、時間とともにどのように薄れていくのかを見つめている。
そして、ぼやけていく像の中に何を見るか、それは観る者それぞれの記憶や想像に委ねられている。
– 小池健輔
作家による作品ガイド
「4分の1のあなた」と聞いて、何を思い浮かべますか?
サイズが4分の1になった小さな自分でしょうか。それとも、右足など身体の一部でしょうか。
この展覧会に展示されている作品は、一点を除いて、すべて「4分の1」で構成されています。
4枚の写真が並んでいる作品があります。どれも同じ構図ですが、近づいて見ると、口だけの人、目だけの人が写っています。これは、身体を4分の1ずつ均等に分けたものです。たとえば、あなたの体重が60キロだと仮定すると、15キロの人が4人いることになります。そして実は、その4人がそろえば、再び「ひとつ」になるのです。
別の作品群では、複数の写真が並べて展示されています。先ほどの4点とは異なる装いです。遠くから見ると、どれも同じように見えるかもしれません。目を半分閉じて眺めてみるのも一つの見方でしょう。けれど、近づいて見ると、微妙な違いに気づきます。
ある作品は大きな四角で、別の作品は小さな四角で区切られています。小さな四角で構成された方は、元の写真の全体像をなんとなく想像できます。それは、縮小された「4分の1のあなた」と似ています。
一方、大きな四角の方は、バラバラに細切れにされた「あなたの欠片」を集めて構成されたものです。体重に換算すれば、こちらもやはり15キロ分の「あなた」。同じ重さでも、見え方が変わってきます。大きく角切りにされたのか、細かく刻まれたのか。その違いが印象を大きく左右するのです。さらにこれを細胞レベルまで微細に切り分けたとしても、体重15キロの「あなた」は、やはりそこに存在します。
つまり、私が言いたいのは、人間の目は案外いい加減だということ。あるいは、私たちは断片的なものから構成され、祖先から受け継いだものによって成り立っている、ということかもしれません。
冒頭で「一点を除いてすべて4分の1」と述べましたが、その一点は「16分の1」です。体重に換算すると、3.75キロの「あなた」。それを4倍に拡大し、15キロ分のあなたと同じサイズにしています。これもまた、細かく刻めば、小さな「あなた」が再構成されます。今回は、大きく角切りにしたブロックを並べて構成しています。
アーティスト
小池健輔
Kensuke Koike
Photo by Yusuke Abe
1980年名古屋生まれ。
現在はイタリア・ヴェネツィアを拠点に活動する現代美術作家。
写真や絵葉書といったヴィンテージ素材を用い、「何も加えず、何も取り除かず(No More, No Less)」という哲学のもと、カットと再構成のみで新たなイメージを生み出す独自のコラージュ作品で国際的に高い評価を受ける。
その緻密で詩的な作品は、視覚の錯覚と現実の境界を問い直し、既存の記憶やイメージに新たな物語を付与する。
世界各地で展覧会を開催。
Graduated at Accademia di Belle Arti of Venice (Italy) and IUAV University, Faculty of Arts and Design in Venice (Italy)
[Selected Solo Exhibitions]
2024 “Tiles” Festival Filosofia, Sassuolo, Italy
2022 “Alternative Ulster” Belfast Photo Festival, Queens University QUAD, Belfast, N.Ireland (with the support of Daiwa Foundation)
“Dear Friend” Blue Sky Gallery, the Oregon Center for the Photographic Arts, Portland, USA
2021 “Re-composed” The Photographers’ Gallery – Print Sales Gallery, London, UK
2020 “Kensuke Koike” ROSEGALLERY- online, Santa Monica, USA
“No More, No Less” IMA gallery, Tokyo, Japan
2019 “Forever Mine, curated by Alessandra Chiericato, SEPTIEME Gallery, Paris, France
2018 “Hi Jane”, IMA gallery, Tokyo, JapanDear Friend…, Postmasters Gallery, New York, USA
2017 “To Wolf ” A plus A Gallery, Venice, Italy
2016 “Saved by the bell”, Ciocca Arte Contemporanea, Milan, Italy
2014 “Switchover” ARTcore Gallery, Bari, Italy
2013 “Sleepers Awake” Jarach Gallery, Venice, Italy
“Here is my secret” Ciocca Arte Contemporanea, Milan, Italy
2012 “Wish” Ciocca Arte Contemporanea, Milan, Italy
[Selected Group Exhibitions]
2025 “GODZILLA THE ART” Mori Arts Center Gallery, Tokyo, Japan (upcoming)
2024 “Roma Arte in Nuvola 2024” Centro Congressi Roma La Nuvola, Rome, Italy
“The Cutting Room Floor” The Athenaeum of Philadelphia, Philadelphia, USA
“COLLIDED” curated by Faye Dowling, Skovgaard Museum, Viborg, Denmark
2023 “Fragmented Lucidity” ROSEGALLERY, Santa Monica, USA
2022 “de/re CONSTRUCT: an exhibition by Tanabe Chikuunsai IV x Sawako Kaijima and Kensuke Koike, Cromwell Place, London, UK
“States of Disruption” CCP. Centre for Contemporary Photography, Melbourne, Australia
“Sensorama” Museo MAN, Nuoro, Italy
“Overdose” Design Museum Holon, Holon, Israel
“(de)constructed” Candela Gallery, Richmond, USA
2021 “PHOTO KOMORO” Asama International Photo Festival, Komoro, Japan
“InCadaques Photo Festival” MEP x InCadaques, La Casa Salvador Dali, Cadaques, Spain
2020 “Festival Images Vevey” Vevey, Switzerland