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HIROSHIMA 1965

石黒健治

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限定版/限定900部/サイン・ナンバー入

アルル・ブックアワード2019 ショートリストノミネート

1965年3月から8月まで、「ヒロシマから広島へ」20回の連載のため、ぼくは広島へ通うことになった。
熱に溶けて歪んだビンや時計や、被爆者の着ていた黒焦げのシャツなど、原爆の悲惨さを訴えるような写真を撮るつもりは皆無だった。
原爆投下から20年経過すると、街は日常の生活空間に復帰して、あの忌まわしい記憶を宿した〈もの〉を見かけることはできない。原爆ドームも観光的なモニュメントにすぎず、〈恐怖〉は平和公園の原爆資料館の中にひっそり匿われてしまっている。
しかし、街には原爆の影のようなエアーが残っていることは明らかだった。それは、何気ない日常のなかに潜んでいる空白と混ざりあい、変容し、助長しているように感じられる。
よくはわからないまま、ぼくは目に見えない不思議エアーにカメラを向けて、写真を撮っていたのだとおもう。

-石黒健治 写真集『HIROSHMA 1965』後書きより

判型
240 x 210 x 18 mm
頁数
160頁
製本
ハードカバー/表紙:クロス装
発行年
2018
出版社
Akio Nagasawa Publishing

石黒健治

Kenji ISHIGURO

1935年福井県生まれ。1959年桑沢デザイン研究所修了。同年、写真協会新人奨励賞受賞。主な写真展に「不幸な若者たち」「ナチュラル」「シアター」「夫婦の肖像」など。写真集は「健さん」「広島HIROSHIMA NOW」「ナチュラル」など。そのほか、ミステリードキュメント「サキエル氏のパスポート」を出版。また、映画『人間蒸発』(今村昌平監督)の撮影担当、『無力の王』(東映セントラル)を監督など、多方面で活躍。

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